退職をしてNAISTの修士課程に入学します
※これはポエムであり、自分語りです。ただただ時系列順に書き連ねていきます。
本記事は退職エントリというよりは入学エントリ、合格体験記に近いです。
TL;DR
FROM: 株式会社リブセンス
TO: 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 博士前期課程
リブセンスは、9月27日が最終出社でした。
10月2日より奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の先端科学技術研究科の博士前期課程に入学します。
専攻は自然言語処理で、松本研に入る予定。
進学を考え始めた時の話
遡ること昨年の春過ぎ...。
この頃からコンピューターサイエンスをやりたいと考え始めていました。
それは自分が経済学部出身であることを負い目を感じていたことや、自身の未熟な技術力に対する欠乏感から湧いた気持ちだったように思います。
当時は「流行りを追い続けるのではなく、それらの技術が基礎に置いている技術を学びたい」と同僚によく相談していました。
はじめはコンピューターサイエンスを独学する方向で考えていました。
ですが、アメリカ就職に失敗したはなしというエントリ読んでから、真剣にアカデミックを考えるようになりました。
というのも、自分も海外志向で人生で一度はシリコンバレーで働いてみたいと思っているからです。
とはいえ、このときはまだ具体的に研究していきたい分野を考えておらず、それもあって具体的な進路は考えていませんでした。
なので、ググって見つけた(当時は)学費が安くて三年制だったタリン工科大学の学部や、
北陸先端科学技術大学院大学の東京社会人コースを目指そうかなぐらいの気持ちでいました。
NAISTへと進路を固めた時の話
自分はリブセンスでSEOに関わるようなチームに所属をしていて、昨年の夏くらいの当時はサイト内の検索に触れる開発していました。
そんな最中で、SIGIR2018 報告会 〜世界の検索テクノロジーとメルカリの未来〜という勉強会に参加して、その面白さに感化されて検索技術に関心を持ったのがひとつのキッカケです。
また、SEOに関わる中で某検索エンジンに課題を感じるようになってきて、それをどうにかするような研究をしたいと思うようになりました。
この辺の話は、NAISTへの道というスライドにまとめています。
そこで検索技術を学習するために掘り下げていき、たどり着いたのが自然言語処理でした。
小町守さんの自然言語処理を独習したい人のためにというページを参考に学習を進めていたことを覚えています。
実際に学習をはじめてみると、自然言語処理はすごく楽しいと思える分野であるという発見がありました。
というのも、自分はソフトウェア開発に対して、「ドメイン領域を理解して、それをシステムに落とし込むために知恵を絞る」ところに最も楽しさを感じていたので、言語学の知見や人の営みを参考にコンピューターで言語を取り扱う方法を考案するというのがとても面白く感じたのでした。
とはいえ、検索技術にしても自然言語処理にしても学習の道筋が整備されているわけではなく独学の限界を感じ、次第に大学院のような学習環境が整っている場所に行ったほうがよいと考えて進学を決意しました。
そこで、研究室を調べはじめて最終的にNAISTの松本研にたどり着いたわけです。*1
所属している皆さんのブログエントリを読んで「ここで研究できたら絶対楽しいだろうな。」と思い、第一志望に定めることにしました。
入試のための準備の日々
NAISTの入試科目は以下の通りだったので、計画的に準備していきました。
- 数学(解析・線形代数)
- 英語(TOEIC)
- 小論文(主に研究計画)
途中で忙しさのあまり心が荒んでたこともあったのですが、人生で自分が乗るべきたったひとつの電車というエントリに励まされ、自分はいま乗るべき電車に乗るための荷造りをしているんだと奮いたたせてモチベーションを高めたりしてました。
数学
自身が文系出身であるため、数学が足を引っ張ることのないように最初の時期から最も力をいれていました。
まずは、マセマのキャンパスゼミシリーズを二周ほどして基礎知識を叩き込むなどやってます。
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その後はリポジトリにまとまっていた過去問を何周もしました。
実際の入試は過去問と全く違う問題が出てきて、泣きそうになりましたが...。(それはそう。)
github.com
英語
TOEICなので割愛。
小論文
以下の研究計画を提出しました。
これに至るまでの経緯をば...。
研究計画を練るのに以下のプロセスを踏んでいました。
(この辺はリブセンスで施策の企画をさせてもらった経験が活きたなと思ってます。マジ感謝。)
- 自分の達成したい課題を明確にする
- それに関連する分野の動向を把握する
- 提案内容を考える
自分の達成したい課題を明確にする
前述したとおりに、僕には業務でSEOに関わる中で某検索エンジンに感じるようになった課題があったので特に悩まず...。
その課題とは、利用者に検索の意図を言葉にすることを強要しているために、言語化能力によって検索能力に格差が生じていることでした。
それに関連する分野の動向を把握する
その次には関連する分野を定めてレビュー論文を読むことをしていたのでした。
まずは各種の自然言語処理タスクについて学ぶことで、解決したい課題がどの分野に属しているかのあたりをつけました。
とはいえ、知識の浅い自分には限界があったため、松本研に研究室訪問をして松本先生に相談したりもしてます。
最終的には情報検索や情報抽出周りを深堀りしていくと当てをつけて各種レビュー論文を読んでました。
論文探しには、はじめはGoogle ScholarやarXivを使っていて、"Information Extraction"や"Infomation Retrieval"という語に、"Review"や"Survey"といった語を絡めて検索しては出てきた無料で読める論文を漁ったりしてました。
その後に松本先生にACL Anthlogyを教えていただき、論文探しの視野が圧倒的に広がったりすることもありました。
このときは2014-現在までの論文を中心に読んで、現在はどこまでできて、どこまでができないのか、なにが課題とされているのかの把握することにしていました。
その上で、なにをすれば課題のどの部分にアプローチできるのかを都度判断するようにもしていたのでした。
ちなみに同時に論文を読むための基礎的な知識をつけていたりもしてて、以下の記事を書いたのもこの時期です。
提案内容を考える
最初にたどり着きたいゴールだけを定めておいて、あとはアイデア発想法を用いて考えたり、四六時中トイレに居るときも寝る直前もシャワーを浴びてるときも考えたりして、なんとか辿り着きました。
何度も書き直した覚えがあります。
最後は急に降りてきた思いつきです。
全く参考にならなくてすみません...。
リブセンスについて
本当にすごく暖かい人たちばかりの良い会社でした。
自分がとても未熟なときに入社させてもらって、そこから本当に様々な経験をさせてもらうなど大変お世話になりました!
皆さんのおかげですごく成長させてもらい、本当に本当に感謝の気持ちしかないです。
もちろん大変な時期もあったけれど、それも含めて楽しい日々でした。
そして、特に昨年末に大学院進学を打ち明けたところ、周りのみなさんが全力でサポートしてくれたりしてくれて、なんていい職場なんだと感動したりもしたことを覚えています。
僕のリブセンスに対する思いは、ワンピースのサンジがバラティエを出るときの如く「くそお世話になりました!」と叫びたい気持ちなくらいで、簡単に言葉では表現できないくらいなので本当にいい会社だったことを最後に伝えさせていただきました。
最後に
ついに入学式が迫ってまいりました...。
二年以内に実績を出すつもりで頑張ってまいりますので、応援よろしくお願いします!
*1:小町さんがまとめている自然言語処理が学べる研究室を参考にしました