「イシューからはじめよ」を再読したら良かったよ、という話
この土日で安宅和人の「イシューからはじめよ」を再読した。
- 作者: 安宅和人
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2010/11/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 48人 クリック: 660回
- この商品を含むブログ (145件) を見る
このエントリの趣旨は、「実際に働いてみてから読み直してみたらすごく頭に入ってきた」というつもり。
「イシューからはじめよ」との出会い
最初に読んだのは、おそらく3、4年前の大学生の頃だった。
この頃は卒業研究で頭を悩ませていて、すがる思いで手にとった覚えがある。
その当時も本書をしっかりと読んだつもりだったが、正直にいうと内容が頭に残らなかった。
ロジカルシンキングをわかりやすく説明してくれるため、少なくともその場では言っていることはわかる。
しかし、この「わかる」はソフトウェアエンジニアがよく言う「完全に理解した(わかっていない)」*1に近いものだった。
いま思うと、それは「実体験」がなく、現実味を感じられなかったからだと思う。
「イシューからはじめよ」の再読した理由
現職でPJに携わる中で、もっと問題解決スキルを磨きたいという気持ちが高まった。
簡潔に説明すると、企画・分析の仕事をいただくようになったので、必要そうなスキルを基礎的なところから復習しようと考えた。
そこで、まずは問題解決の本を読むことにした。
問題解決の本は市場にありふれている。
どの本を選ぶかを迷ったが、新宿の紀伊國屋書店で数々の本をパラパラと覗いた末に、最終的に「イシューからはじめよ」を再読することに決めた。
そうした理由は3つある。
- 明確なゴールに向かってストーリーが作られている
- 問題解決フレームワークとビジネスフレームワークが混同されていない
- 少ないページ数にもかかわらず、各種のフレームワークがまとまっている
明確なゴールに向かってストーリーが作られている
僕が知りたかったのは、分野を問わない抽象的な問題解決スキルだった。
しかし、いくつかの書籍をパラパラと覗く限りは、いくつかのフレームワークの紹介だけに留まっている本が多いように感じた。
本書は「良質なアウトプットを生み出す」というゴールのため、心構えと動き方、考え方がメインテーマになっており、関心のある分野は問わない。
そのため、「イシューからはじめよ」が、まさに僕がいま読みたい内容であった。
問題解決フレームワークとビジネスフレームワークが混同されていない
僕の中で、問題解決フレームワークとビジネスフレームワークは明確に線引されるものだと思っている。
つまり、ピラミッド構造 / MECE / 仮説思考と、3C / 5フォースは異なる分野のものだという認識だ。
問題解決フレームワークはどの分野にも応用が効く、汎用的なフレームワークだ。
対して、ビジネスフレームワークは、あくまで具体的な分野のフレームワークだ。
2回目でしつこいようだけれど、僕は汎用的な問題解決スキルに焦点を当てた本が読みたかった。
そのため、本書が僕の要望に非常にマッチした。
本書は問題解決に焦点を当てたフレームワークをメインに据えて紹介している。
ビジネスフレームワークは出てこないわけではないが、基本的には具体例の紹介に使われるに留まっている。
これは、本書の再読を選ぶ理由の一つになった。
少ないページ数にもかかわらず、各種のフレームワークがまとまっている
本書は243ページしかない。
技術書や専門書、同様に問題解決スキルの本を読もうとすると、これ以上にページ数が多いと思う。
少ないページにもかかわらず、以下のような多くの問題解決フレームワークについてわかりやすく丁寧に説明されている。
- 仮説思考
- MECE
- ピラミッド構造
*Whyの並べ立て(帰納法)
- 空・雨・傘(ちょっと違う気もするけど演繹法)
- So What?
- etc...
問題解決フレームワークを身につけるのに少ないページ数、冊数で済むのならそれに越したことはないと思っている。
僕らの時間は有限で、問題解決スキルだけが学ぶべきスキルではないからだ。
プライベートだって大事にしたいし、業務に関連したスキルも学ぶ必要もある。
なので、効率よく問題解決スキルを学べそうな本書を選ぶことにした。
実際に再読してみて
結論から言うと、再読してよかった。
実際に働いてから*2読んでみると、本書の内容が経験と絡み合って頭の中に入ってくる。
それは共感だったり、反省だったり、様々な感情がいりまじったものだけれど。
学生の頃に読んだときの感覚は、「わかるんだけれど、わかっていない」という「目が滑る」感覚に近かったと思う。
3,4年働いた現在に、もう一度読んでみると本書をより咀嚼できていることに気がついた。
本書は、僕にとって仕事の進め方のバイブルになった。
また、数年後経ってから読み返してみたら、もっと理解できたり、新しい情報を引き出せたりできるのかもしれない。
そして、このレビューも青臭いと感じて、恥ずかしいと感じるのかもしれない。
最後に
選んだ理由の項目が、思ったより分量が多くなってしまった。
(本書の内容的に削るべきなのですが、ここはご愛嬌。)
内容のとおり、バリューの高いメッセージが詰まった本でした。
このような素晴らしい本を書いてくださった安宅和人さんに感謝を申し上げます。